漫画の話をしましょうか

ただひたすら漫画の話をするブログ。新旧・ジャンル問わず色んな作品について語りたいです。https://twitter.com/Matryoshka3

西炯子「姉の結婚」-貴様らに必要なのは「ほうれんそう」である-

f:id:snksnksnk:20180815231520j:plain

大人向け少女漫画。
都会での恋に疲れたアラフォーが主人公。
アラフォーなのに不倫なんかしてて、オイもう後がねーだろ今後どうすんだよ人生設計感満載ですが、少女漫画です。
自分からは何も行動を起こさず、流されまくりの主体性のないジメジメ地味系アラフォー女に、非常に都合良く白馬の王子様がやってきて「そのままのキミが好き」「ずっとキミが好きだった」と押して押して押しまくる話だからです。
この白馬の王子様が既婚者の上、変態(もちろん性的な意味で)、ストーカー気質、中学時代はデブ不細工であだ名が「ホワイトポーク」という激ヤバぶりですが、なんせイケメンなので全ての欠点は美点へと変換されるイケメン無罪漫画です。アラフォー不倫漫画なのに立派に少女漫画のカテゴリに入る理由がおわかりいただけましたでしょうか。
まあ、大人のお伽話です。

 
わたし西炯子作品結構読んでるんです かなり昔から。デビュー作から知ってる。
作者が自作とある程度距離をとっていて、自分自身をキャラクターに投影せずに俯瞰で描いてる作品は楽しめるんです。
が、女性目線でメロドラマをやられるとどうもいけない。
女性キャラクターに対する不快感がじわじわ来る。


はい、西炯子の女性キャラ苦手です。
特に「娚の一生」「姉の結婚」が苦手。
はっきりいってこの2作、主人公の女はほぼ同じ女です。年齢、外見、性格、キャリア、恋愛遍歴、思考回路、どこがどう違うんだかわかりません。
アラフォーという設定年齢なのにシワひとつ無い童顔に不自然なデカ目で巨乳。身なりをかまえば実は美人で自分から積極的に動かなくてもモテモテ。仕事ができて才能に恵まれてるが恋愛関係は臆病で不器用。都会での不倫に疲れて故郷である九州に戻りプチ老後。
…同じ女じゃん。

 


この「恋愛に臆病で不器用」というのは主人公の自己評価の低さから来てる。その自己評価の低さは家庭環境から。それゆえに結婚生活に夢や希望を抱けない。で、不倫常習者になったと。
わたし別に不倫常習者の女性はけしからん、許せん、とは思いません。
「感心できることじゃねーよな」とは思うけど、自分の友人知人にそういう人がいてもほっとく。説教もしない。無駄だから。のぼせてる間はどーせ他人の忠告なんかきかないから。わたしに害が及ぶようであれば文句の1つもいうかもしれんが、そうでなきゃほっとく。基本的にはその人の人生だからね。

 

姉の結婚」の主人公・ヨリは不倫三昧だった都会生活に疲れて帰ってきたはずの故郷・長崎で流されるままにまた不倫( ゚д゚)ポカーン。

f:id:snksnksnk:20180815232559j:plain


不倫続行したまま 周囲に流されて見合い( ゚д゚)ポカーン。
婚約予定となったあたりで仲介人に不倫がばれて破談( ゚д゚)ポカーン。
不倫相手とも別れて「おひとりさま」になったところに才能ある年上男性からの熱烈アプローチ( ゚д゚)ポカーン。
さらに元不倫相手が妻と離婚してきて(ここんちは奥さんも不倫中というW不倫夫婦でした)主人公にプロポーズ( ゚д゚)ポカーン。
しつこいようだがアラフォーです主人公。
自分からは何もしないのにあっちからもこっちからも求愛されるアラフォーなんて普通そうそういませんよ。
なんかさ、周囲に流されてばっかなんだよ、この人。
自分からは何も行動起こさない。
おひとりさまでプチ老後なんて達観したこと言ってるわりには恋愛に依存するしさ。
でも結婚に夢や理想を持てないがゆえの恋愛迷子ならまあ仕方ないよね…って読んでたら、「私は結婚したくて結婚したくて仕方なかった」って主人公のセリフがあって驚いた。
あなたケッコンしたかったんですか?!
じゃあなんで今まであえて既婚者ばっか狙って交際してたの?!
ものすごーい回り道じゃん!

 
最終巻の8巻には更にオマケがありまして、元不倫相手との結婚が決まって浮かれる主人公に、2人の仲を裂こうとする横恋慕女からの妨害工作が!
その妨害工作ってのがすごくくだらねーの。手紙隠すとか「彼はもう私と暮らしてる」ってハッタリかますとか、30年前だか40年前だかの少女漫画みたいなくだらない妨害工作なの。
横恋慕女を介さず、彼氏と直接ちゃんと向かい合って話し合えば簡単に解ける程度のしょーもない誤解なんです。
にもかかわらず、彼と話し合いもせず逃げ出す主人公。「もう裏切られるのはイヤ」などと悲劇のヒロインモード炸裂で。
あのなあ、憶測と勝手な思い込みで感情的になって逃げ出す前に、きっちり事実確認しろよ。
悲劇のヒロイン脳の少女漫画の主人公どもに一言いいたい。
貴様らに必要なのは「ほうれんそう」である。
ほうれんそう=すなわち報告連絡相談!!!
憶測と思い込みは捨てて冷静に客観的に事実確認しろ。

 


100歩譲って10代の世間知らずで傷つきやすいお嬢さんなら彼に他の女が!ってパニック起こして冷静になれないかもね。でも「姉の結婚」の主人公!あんた40歳で海千山千の不倫常習者で仕事できるって設定だろーが。今まで何やってきたんだよ。
…ってイライラして読んでたら主人公の妹がなぜ主人公がそんな行動をとっているのかをご親切に解説してくれた。

f:id:snksnksnk:20180815232503j:plain

 

「お姉ちゃんはバカだから信じちゃ裏切られて…(中略)愛されることが苦しいのかもしれない」
あえて既婚者ばかりに狙いを定めてつきあってきた人が「信じちゃ裏切られ…」???
あのさ~交際相手が既婚者って時点で最初から信じるに値しない相手でしょ。
それは単に信じるほうがバカ。それを何度も何度も繰り返しただと。若い娘さんならともかくアンタもう40歳でしょ。

そして逃げ出した主人公を彼氏(元不倫相手)が探し出して追っかけてきてくれて(白馬の王子様が迎えに来てくれましたってことですね)、やっとハッピーエンド。
主人公はどこまでもどこまでも周囲に流されてばかりの受動態だった。
くっそめんどくさいな!
私が相手の男だったら匙投げるよ。
「なんで俺に直接事実関係を確認しないのか。よく知らない女の言葉を真に受けるのか。なぜ勝手に行方をくらますのか。もう知るか面倒くせーな」ってね。
あーホントくそめんどくさい性格してるよ。ハリセンで殴りたい。


ここまでケナして何ですが、マンガ自体は大変面白いです。
キャラクター造詣はうんざりさせられるが脚本はすげー上手い。
「上手い!」「深い!」と思わせるセリフや情景描写がとても多い。

f:id:snksnksnk:20180815232337j:plain


たぶん作者はとても頭がいい人でボキャブラリーが豊富な人なんでしょうね。
「そんなに嫌いでケナすなら読まないで!私はこのマンガ大好きです キーッ」って
好きと嫌いの2択しかない人が文句言ってこないように予防線張っておきますが、
“主人公のキャラクターに共感できず不快”と“マンガ作品として面白い”はわたしにとって別問題です。
「性格的に相性悪いけど、仕事はすごく評価できる人」って同僚とかにいませんか?
わたしにとって「姉の結婚」はそんな感じ。

 

 

追記

普段は地味キャラなヨリさんが久しぶりに出てきた東京の空気に浮かれて、半チチ出して踊りまくる姿(3巻に収録)は関わったらあかんやつやって感じで怖かったです…

f:id:snksnksnk:20180815232737j:plain