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イ・ヨンヒ「絶頂」-海を越えて韓国にまで伝搬された女豹様の漫画作法(たぶん)-

女豹様のおかげでアクセス数伸びたので、この機会に畳み込むように書くべし!と行きたいところですが、ここ数年ド貧乏で漫画買う金がないので何も書けませんネタがなくて。

これは10年前にmixi等に書いた文章に加筆修正したものです。

てわけで古いネタですから!

10年前のネタだからね!情報古いぞ。

赤貧に免じて広い心で読んでくださいね。

 

 

 

イ・ヨンヒ「絶頂」

 

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韓国No.1のBLコミック。

電通の企てと世間の流行から遅れること7年、ついに私の元にも韓流がやってきましたよ。ええ。
つってもBL1作読んだだけだけど。

面白かったっすよ。「BLの作法」が海を越えて伝来してることにカンドー。
いや、「萌え」が万国共通ということなんでしょうか。
なんといっても主要キャラが2人並んで立った絵面だけで、どっちか受けでどっちが攻めか、瞬時に判定可能なのがすごいわ。
受けが華奢でやんちゃな美少年タイプ、攻めが長身で強引でワイルド系のいい男っていうのは万国共通の「BLの作法」なんすかね。万国共通というより、東アジア共通なのかもしれないけど。

過去にワケ有りの正反対の2人がなぜか同居することに。というのもBLのテンプレ。読み進めていくうちに、受けのほうが攻めより2歳年上ということがわかり、これには驚愕。「年下攻め」ですかあ!儒教国でもアリなんですね、こーゆーの。それとも「萌え」の前には儒教もふっとぶのか。

いや、儒教だからこそかもしれん。なんというか、こう…儒教禁断の年下攻めに背徳の匂いっていうか…

 

 

 

絵柄は派手・華やか・くどい・濃ゆい・丁寧。
目がでっか!まつ毛ビシバシ!日本ではいつのまにか少女漫画からもBLからも美少年の下まつ毛が減って久しいが、韓国では美少年の大量の下まつ毛は健在。この濃ゆさ、どっかで見たことあんなと思ったら「竹田やよい」だ。竹田やよいだよ、この濃ゆい耽美絵は。
カラー口絵がまた強烈。包帯・十字架・血・羽・鎖・軍服…
こ、この既視感は。

お、尾崎南だーっ!女豹様ーっ!!!
あと、そこはかとなく「天使禁猟区」の匂いがするー!!!
とにかく90年代ヴィジュアル系バンドと90年代同人系の匂いがしますー。

 

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あ、でもこのひと絵にクセはあるけどめっちゃ画力はあるよ。上手い。

手ぇバカでかいけど、これは日韓共通のBLテンプレというか。

ていうか、あまり考えたくないが、女豹様の漫画作画フォーマットが海を越えて韓国にまで伝搬してしまったのでは……

尾崎南を経由した人間は、みんな手をクソでかく描くようになる。

これは日本BL界に未だに続く解けない呪いだ。
おなみちゃん、他所様(韓国)にまでいらん影響与えてしまうなんて。

 


バックに花が飛び散るのがすごく新鮮。バックに花が飛び散るという少女漫画の作法、本家のニッポンからは消えて久しいからさあ。
ただ、これが韓国BL共通のものなのか、この作者特有のものなのか、これ1作では判断できないのだが。

 

 

韓国のコミックなので、左開き。
コマの流れも左から右に読む。
これには慣れるまで時間がかかった。
背景がすんげー無国籍。舞台が韓国のはずなのに、地下鉄の標識や街中の看板にまったくハングル表記が登場しない。日本発売にあわせて、日本の読者がわからないハングル表記とかをあえて消したのかもしれないけど。

部屋のインテリアといい、「韓国っぽい」ものがゼロなので、実はアメリカが舞台だといわれたら信じてしまいそうだ。キャラの顔も濃くて彫りが深い。モンゴロイドからかけ離れていて、韓国人というよりラテン系に見える。そのくらい濃い。

 

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「韓国っぽいな」と唯一思ったのは、4巻までいってもキス止まりなこと。
韓国ではそのものズバリな性描写はご法度らしくて、日本のBLコミックの韓国版が出版された時、Hシーンにはものすごく丁寧に修正が入れられ、Hに見えないように工夫が凝らされていたそうなので(それはそれはもう見事な修正技術だったそうな)。

だからまあタイトルは「絶頂」だが、主人公にはいつまでたっても「絶頂」は訪れないであろう。

 

あ、それと。私は「中性的な美少年」というものに全く興味も関心も持てない女だが、このマンガの「受け」は可愛いと思ったな。こんなにビジュアル系のチャラ男で徴兵制はどうするつもりなんだと、くだらんことが心配でならん。

 

 

この本、日本語版が文庫で4巻まで発行されたあと、大人の事情で続巻が止まっちゃってるようです。韓国語版は6巻まであるらしい。どうなるか知りたいんだけどな。

最後まで出してくんねーかな。